旭川の生成AI活用はどこまで進んだか|行政・医療・教育・企業の事例まとめ【2026年8月最新】

最終更新日:2026年8月6日

「生成AIが便利なのは分かった。でも、旭川で実際に使っている会社なんてあるのか」

旭川市内の経営者と話していると、この一言に必ず行き当たります。東京の事例は毎日流れてくる。けれど自分の地元でどこまで進んでいるのかは、探しても断片的な情報しか出てきません。

結論から言えば、旭川の生成AI活用はすでに「試してみる」段階を抜けています。市役所は年間80,000件の受付業務を作り替え、旭川赤十字病院は作業1件あたり30〜60%の削減効果を出し、市内の小中学校は文部科学省の指定を受けて授業で使い始めました。空港の土産店には道内初のAI接客が入っています。

この記事では、旭川市内で実際に動いている生成AIの取り組みを行政・医療・教育・地域産業の4分野に整理し、すべて出典つきでまとめました。あわせて、旭川で生成AIを学べる場の一覧と、中小企業が明日から始めるための4ステップも掲載しています。

この記事を読み終えると、次の3つが分かります。

  • 旭川で「誰が」「何に」生成AIを使っているのか(実名・数字つき)
  • 自社と近い規模・業種の事例がどこにあるのか
  • 何から手をつければ失敗しないのか

Contents

旭川の生成AI活用は「実証段階」を抜けた

旭川市内で公表されている主な取り組みを、分野横断で一覧にしました。

分野主体取り組み公表されている数字
行政旭川市粗大ごみ・剪定枝の収集受付をオンライン化年間80,000件の受付/従来は平日9〜17時に毎日約400件の電話対応
行政旭川市次世代窓口(オンラインコンシェルジュ)に生成AIをセキュアに活用総務省「自治体フロントヤード改革」に採択
行政旭川市×インターパーク対話型AI電話自動応答システムを共同開発2025年6月公表
行政旭川市民生委員児童委員向けポータルに、AIが回答を自動生成するQ&A機能2024年度公募
医療旭川赤十字病院×オープン×AWSジャパン音声データから説明記録・カンファレンス議事録を自動作成RPA×AIで作業1件あたり30〜60%削減
教育旭川市教育委員会文部科学省「生成AIパイロット校事業」(B区分)の指定指定校4校・協力校11校
産業旭川空港の土産店生成AIによる音声・文字での接客サービス「AItube」道内初(2024年9月開始)
産業ASAHIKAWA DESIGN WEEKカメラ映像からリアルタイムに絵を生成する参加型アート地域デザインイベントでの実装

ここから読み取れることは2つあります。

1つ目は、旭川で先に動いたのが「民間企業」ではなく「行政と医療」だということ。 電話対応・記録作成・問い合わせ回答といった、人手が張り付いていた定型業務から入っています。

2つ目は、成果が「率」で語られていること。 30〜60%削減、年間80,000件。実験レポートではなく、業務指標として管理されている段階に入っています。

一方で、市内の中小企業の活用は公表事例が極端に少ないのが実情です。使っていないのではなく、使っていても外に出していないケースが多い。だからこそ「旭川では誰もやっていない」という誤解が残り続けています。

行政:旭川市の取り組み

年間80,000件の粗大ごみ受付をオンライン化

旭川市の粗大ごみ収集の申し込みは、長らく電話受付が中心でした。平日9時から17時という限られた時間に、毎日約400件の電話が集中する構造です。年間の受付件数は約80,000件にのぼります。

市はこの受付をkintone上に移し、紙とExcelで分散していたデータをデータベースに集約しました。現在は粗大ごみと剪定枝・落ち葉の収集受付がオンラインで申し込めます。さらに、この基盤に生成AIを組み合わせて行政事務そのものを自動化するフェーズへ進んでいます。

出典:Toyokumo kintone Blog旭川市「粗大ごみ、剪定枝・落ち葉の収集受付がオンラインで申し込めます」

中小企業への示唆:この事例の本質は「AIで賢くした」ことではなく、紙とExcelに散っていたデータを1か所に集めたことです。生成AIは、データが揃っていない場所では力を発揮しません。順番を間違えないことが最大の学びです。

次世代窓口とオンラインコンシェルジュ

旭川市は総務省の「自治体フロントヤード改革」に取り組む自治体として、インターネット環境にオンラインコンシェルジュを構築し、生成AIをセキュアに活用する方針を掲げています。掲げる理念は「行かなければならない」「わからない」がゼロの窓口。市民の「検索・来庁」から「窓口手続」までの各段階でオンライン誘導を徹底し、来庁者そのものを減らす設計です。

出典:総務省 自治体フロントヤード改革ポータル/旭川市「DX加速化方針」

対話型AI電話自動応答システムの共同開発

2025年6月、旭川市はインターパークと対話型AI電話自動応答システムを共同開発したことを公表しています。行政の電話対応という、最も属人化しやすい業務にAIを入れた事例です。

民生委員向けポータルのAI Q&A

旭川市は、民生委員児童委員が使うポータルサイトの「よろず相談」機能で、質問に対してAIが自動生成した回答を返すQ&A機能の構築を公募しています。専門知識を持つ人が不足している領域を、AIで補う発想です。

医療・福祉:現場業務の自動化が先行

旭川赤十字病院の生成AI実証実験

旭川市内でもっとも数字が明確な事例が、旭川赤十字病院の取り組みです。

オープン(オープングループ)とAWSジャパンとともに、生成AIを活用して音声データから、インフォームド・コンセント(患者への説明)の記録とカンファレンスの議事録を自動作成する実証実験を実施しました。公表されている効果は、RPAとAIの組み合わせで作業1件あたり30〜60%の業務削減です。

背景には2つの事情があります。1つは2024年4月に施行された医師の働き方改革の新制度。もう1つは、地域の高齢化と労働人口の減少による医療のひっ迫です。同院はもともとRPAツール「BizRobo!」を活用していましたが、それだけでは追いつかず、生成AIの導入に踏み込みました。

出典:オープングループ株式会社

中小企業への示唆:注目すべきは、すでにRPAで自動化していた会社が、次の一手として生成AIを選んだという順序です。「AIから始める」のではなく「自動化しきれなかった部分にAIを当てる」。人が話した内容を文字にして整える作業は、業種を問わず存在します。議事録、報告書、引き継ぎメモ。ここは中小企業でもそのまま真似できる領域です。

市内クリニックの音声カルテ化

市内のクリニックでは、診察中の声を自動でカルテ化するAI音声ツールの導入が進んでいます。整形外科・脊椎の専門クリニックでの導入事例も公開されています。病院規模でなくても、数名のクリニックから始まっているという点が重要です。

教育:文部科学省の指定を受けたパイロット校事業

旭川市は、文部科学省「生成AIパイロット校事業」のB区分(教育活動)の指定を受けています。令和8年度は指定校4校、協力校11校で実践を進め、文部科学省の事業と旭川市独自の教育実践を組み合わせて取り組んでいます。

2026年7月9日には「旭川市生成AIパイロット校事業 夏季学習会」が旭川市神楽公民館で開催されました(集合形式40名程度、オンライン形式100名)。研修会には市外からの参加枠も設けられ、旭川の実践が広く共有される形になっています。

出典:リーディングDXスクール(文部科学省)/旭川市 学校DX

また、旭川医科大学は生成AIの利用について、次の考え方を公表しています。

  1. 生成AIに個人情報や機密情報を入力しない
  2. 生成AIが出力した結果を無批判に受け入れない
  3. 生成AIの出力に対する責任は利用者が負う

中小企業への示唆:この3原則は、そのまま社内ルールの骨格になります。実際に当社が支援した家具メーカーのAI活用規程も、この3点を土台に組み立てています。学校や大学が先に整理した「使ってよい範囲の線引き」は、中小企業がゼロから考える必要のないところです。

教育現場での生成AI活用については、旭川の学校現場で生成AIをどう活かすか旭川の学校で広がるAI教育格差で詳しく扱っています。

地域産業:企業・イベントでの活用

旭川空港の「AItube」

旭川空港の土産店では、2024年9月25日から生成AIを活用した音声・文字による接客サービス「AItube」が稼働しています。道内初の事例として報道されました。買い物客が話しかけると、AIが商品選びを支援する仕組みです。

ASAHIKAWA DESIGN WEEKでの画像生成AI

地域デザインイベント「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」では、カメラ映像からリアルタイムに花の絵を生成する参加型アートや、木端を活用したプロトタイプコンテンツが展示されました。旭川の家具・デザイン産業と画像生成AIを掛け合わせた試みです。

旭川高専のAI人材育成

旭川エリアでは、旭川高専の学生を対象としたAI・半導体人材の育成を通じ、高専と地元企業の関係を構築する取り組みが進んでいます。「AI活用セミナーin旭川」では旭川高専生による成果発表も行われました。

建設業での生成AI活用

建設分野では、2026年4月に旭川で開催された技術活用セミナーで「生成AIの建設業での活用」が新たにテーマとして加わりました。測量・設計・積算といった工程での活用が、業界の関心事になっています。

当社も建設コンサルタント業界団体の研修会で「建設コンサルタントが知るべき生成AIの実務応用」をテーマに90分の研修を実施しており、この分野の実務ニーズは確かにあります。

旭川で生成AIを学べる場の一覧

旭川では、公的機関・業界団体が主催する生成AIの講座が定期的に開かれています。2026年時点で確認できるものを整理しました。

主催内容形式・会場
旭川信用金庫生成AI活用セミナー「AI時代の働き方の変化〜毎日の業務を1時間効率化する生成AI活用術」大雪クリスタルホール(旭川市神楽3条7丁目)/現地+オンライン
一般財団法人 旭川産業創造プラザ生成AI活用術ワークショップ旭川リサーチセンター1階スタジオ(旭川市緑が丘東1条3丁目)/4時間
中小企業大学校 旭川校(中小企業基盤整備機構)「生成AIの基本と活用法」。有料版の生成AIを実際に操作する演習つき旭川校/集合研修
旭川市市在住女性向けの無料デジタル講座(Canva・生成AI・ショート動画編集)全8回旭川市主催/受講料無料
旭川市教育委員会生成AIパイロット校事業 夏季学習会旭川市神楽公民館/現地+オンライン
公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 旭川地区協会(旭川商工会議所・NTT東日本 共催)最新技術〈AI・生成AI〉活用セミナー旭川地区
TDC NEXUS合同会社業種別の完全オーダーメイド型 生成AI研修・セミナー。基礎編・実践編の2部構成、標準90〜120分。少人数の社内勉強会から150名規模の講演まで旭川市内・北海道内は出張/道外はオンラインで全国対応

公的機関の講座は「生成AIとは何か」を体系的に学ぶのに適しています。一方で、自社の実際の業務データを使った演習まで踏み込めるのは、内容を組み替えられる研修だけです。目的に応じて選び分けるのが現実的です。

研修の選び方は旭川でAI研修を受けるには?中小企業向けの選び方と助成金・導入ステップで整理しています。

旭川の中小企業が明日から始める4ステップ

行政や病院の事例は規模が大きく、そのままは真似できません。従業員数名〜数十名の会社が、失敗せずに立ち上げる順番を4つに絞りました。

ステップ1:使ってよい情報の線引きを決める(所要30分)

最初にやるのはツール選定ではなく、入力してよい情報の範囲を決めることです。旭川医科大学の3原則がそのまま使えます。

  • 個人情報・顧客情報・機密情報は入力しない
  • 出力は必ず人が確認する
  • 出力の責任は使った人が負う

この3行を紙1枚にして共有するだけで、事故のほとんどは防げます。詳しくは生成AIのセキュリティとシャドー開発のリスクで解説しています。

ステップ2:自社の「文章を書く作業」を洗い出す(所要1時間)

生成AIが最初に効くのは、ほぼ例外なく文章仕事です。

業務生成AIが担える部分
議事録・打ち合わせメモ録音から要点整理・決定事項の抽出
見積書・提案書の説明文過去案件を下敷きにした下書き
作業報告書・日報箇条書きから文章化
求人票・社内通知たたき台の作成
問い合わせメールの返信定型パターンの下書き

「1回15分×週10回」の作業が半分になれば、月に10時間以上が戻ってきます。旭川赤十字病院が最初に選んだのも、この領域でした。

ステップ3:無料版で1業務だけ試す(2週間)

全社導入は考えません。1業務・1人・2週間で区切ります。うまくいかなければ捨てられる規模で始めるのが要点です。

生成AIそのものが初めての方は、はじめての生成AI解説から読み進めてください。

ステップ4:効いた業務だけを社内に広げる(1〜3か月)

2週間で成果が出た業務を、手順書にして横に広げます。この段階で有料版の契約や、業務アプリ化の検討に進みます。当社が支援した市内の製造業では、セキュリティ研修から始めてNotebookLM・Gemini、最終的にAppSheetでの業務アプリ作成まで、全4回以上の継続研修で段階的に進めました。

経営者としての判断軸は経営者が押さえる生成AIのビジネス戦略、DX全体の進め方は旭川の中小企業向けDXガイド、DXそのものの基礎はDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何かにまとめています。

着手前のチェックリスト

  • 入力してよい情報の線引きを紙1枚にした
  • 文章仕事を5つ以上書き出した
  • 試す業務を1つに絞った
  • 担当者を1人決めた
  • 2週間後に振り返る日を決めた

TDC NEXUSの旭川での登壇・導入実績

当社は旭川市を拠点に、法人会・工業会・協会・青年会議所から中小企業の社内研修まで、生成AI研修に登壇してきました。累計受講者は500名以上、受講者満足度は98%(自社調査)。最大150名規模の講演にも対応しています。

主催・対象内容規模
公益社団法人 旭川市東・中法人会ChatGPTの活用事例と、中小企業が導入する際のポイント150名以上/アートホテル旭川
北海道ビルメンテナンス協会 旭川地区協議会業界研修会「ビルメン業務に使えるAI手法」。見積・積算・作業報告・多言語対応約44名/2026年7月
道北若力会「建設コンサルタントが知るべき生成AIの実務応用」90分研修35名/2026年6月・花月会館
旭川青年会議所異業種交流会でのAIセミナー。事前質問に応える双方向形式約30名/2026年5月・旭川デザインセンター
北海道中小企業団体中央会 上川宗谷支部 主催(木製家具メーカー向け)社内のAI活用運用規程の第三者レビューと、規程を現場で運用する実務研修16名/2026年7月・現地+オンライン
北海道機械工業会製造業の技術継承・業務効率化の具体的手法製造業向け
損害保険代理店組織保険実務のDXを加速する生成AI活用研修(120分拡大枠)北海道
旭川市内の製造業セキュリティ研修からNotebookLM・Gemini、AppSheetでの業務アプリ作成まで全4回以上の継続型社内研修

ビルメンテナンス業向け研修の詳細は旭川で生成AIセミナーを開催|ビルメンテナンス業向けAI研修の登壇事例で公開しています。

※お客様企業の社名は、掲載許諾をいただいたものを除き業種表記としています。主催団体名は許諾に基づき掲載しています。

対応業種は製造、建設、保険、農業、ビルメンテナンス、行政など。
代表の妹尾飛翔(せお つばさ)は著書『馬鹿とAIは使いよう』を刊行しており、当社は情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」二つ星を宣言しています。

よくある質問

旭川で生成AIを導入している企業は実際にありますか

あります。公表事例としては旭川赤十字病院(作業1件あたり30〜60%削減)、旭川空港の土産店(道内初のAI接客「AItube」)、旭川市役所(年間80,000件の受付オンライン化)などがあります。中小企業でも導入は進んでいますが、公表していないケースが多いのが実情です。当社が支援した市内の製造業では、社内研修から業務アプリ作成まで段階的に進めています。

何人くらいの会社から始められますか

数名の会社でも始められます。市内のクリニックでも音声カルテ化ツールが使われています。むしろ人数が少ない会社ほど、1人あたりの事務作業の比率が高く、削減効果が体感しやすい傾向があります。

無料版と有料版のどちらから始めるべきですか

最初は無料版で構いません。1業務・1人・2週間で試し、効果が出た業務だけ有料版に切り替えるのが失敗しない順番です。ただし顧客情報や機密情報を扱う場合は、入力データが学習に使われない契約形態のプランを選ぶ必要があります。

情報漏洩が心配です。何から決めればいいですか

「入力してよい情報の範囲」を先に決めることです。旭川医科大学が公表している3原則(個人情報・機密情報を入力しない/出力を無批判に受け入れない/出力の責任は利用者が負う)が、そのまま社内ルールの骨格になります。紙1枚にして全員に配るだけで、事故の大半は防げます。

どの業務から手をつけると効果が出やすいですか

文章を書く作業です。議事録、作業報告書、見積書の説明文、問い合わせメールの返信。旭川赤十字病院が最初に選んだのも、説明記録とカンファレンス議事録の作成でした。業種を問わず存在し、成果が数字で見えやすい領域です。

旭川市内で生成AIを学べる場はありますか

旭川信用金庫、旭川産業創造プラザ、中小企業大学校旭川校、日本電信電話ユーザ協会旭川地区協会などが、企業向けの生成AIセミナーやワークショップを開催しています。旭川市も市在住女性向けの無料デジタル講座を実施しています。当社は業種別に内容を組み替える完全オーダーメイド型の研修を、旭川市内・北海道内へ出張して実施しています。

学校教育での生成AI活用はどこまで進んでいますか

旭川市は文部科学省「生成AIパイロット校事業」のB区分(教育活動)の指定を受け、令和8年度は指定校4校・協力校11校で実践を進めています。2026年7月には市内で夏季学習会も開催されました。詳しくは旭川の学校現場で生成AIをどう活かすかをご覧ください。

研修は何名から依頼できますか

少人数の社内勉強会から150名規模の講演まで実績があります。人数に合わせてワーク中心・講演中心など形式を提案します。旭川市内は訪問、遠方はオンラインで対応しています。

まとめ

  • 旭川の生成AI活用は実証段階を抜けている。行政・医療で「30〜60%削減」「年間80,000件」といった業務指標として管理される段階に入った
  • 先に動いたのは民間企業ではなく行政と医療。入口はいずれも電話対応・記録作成・問い合わせ回答といった定型業務だった
  • 中小企業が真似すべきは規模ではなく順番。データを1か所に集める、入力してよい情報を決める、文章仕事から1業務だけ試す

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