AI画像はなぜバレる?広告にそのまま使う前に知る3つのリスク

ChatGPTで作成したカレーの広告画像と「AI画像はなぜバレる?広告にそのまま使う前に」の見出し

「おめでとうございます。AIのおかげで、看板が全国の店と見分けがつきません」

……と、喜んでいる場合ではありません。いまはChatGPTなどの画像生成を使えば、驚くほど整った広告画像がすぐに作れます。ただ、会社の思いや事実を詰めないまま作った画像には、AIが選んだ「どの店にも使える言葉」が載り、それがそのまま御社の看板として公開されます。

この記事では、AI画像が「AIっぽい」と見抜かれる理由、見抜かれたときに起きること、著作権の考え方、そして会社の思いが伝わる使い方の順番を、研究と調査の数字から整理します。読み終えたときに、AIで作った画像を出してよいかどうかを自分で判断できる状態を目指します。


Contents

目次

  1. 1行の指示で、ここまで作れる時代になった
  2. AIが書く言葉は、どの店の看板にも使える
  3. なぜAI画像は「どこかで見た絵」になるのか
  4. 人はなぜ「AIっぽさ」に気づくのか
  5. AI画像だと見抜かれたとき、広告と会社に何が起きるか
  6. 著作権の考え方:簡単な指示で作った画像は守りにくい
  7. AIを使うな、ではない。正しい使い方の順番
  8. よくある質問

1. 1行の指示で、ここまで作れる時代になった

この記事のアイキャッチに使ったカレーの画像は、当社がChatGPTで作ったものです。湯気が立ち、肉とじゃがいもが艶よく光り、上には「香り立つ、至福のひと皿。」というコピーまで入っています。飲食店の店頭に貼られていても、違和感はないでしょう。

見た目の完成度は、もう差にならない

数年前まで、AIで作った画像は指の本数がおかしい、文字が崩れる、といった分かりやすい失敗がありました。いまは違います。照明も構図も、プロのカメラマンが撮ったような水準のものが、専門の知識なしに出てきます。

つまり、見た目の完成度は、もうどの会社でも手に入るものになりました。ここが大事なところで、誰でも手に入るものは、差別化の材料になりません。

それでも、看板にすると困る理由

このカレーの画像を、あらためて見てください。これはどこのお店のカレーでしょうか。

答えは「どこのお店でもない」です。店の名前も、場所も、作った人も、どこにも出てきません。コピーの「香り立つ、至福のひと皿。」は、全国どこのカレー店の看板に貼っても通じる言葉です。

見た目は整っている。でも、その会社である理由が1つも入っていない。これが、AIがそのまま作った画像を看板にするときのいちばんの問題です。以下で、なぜそうなるのか、そして何が起きるのかを順に見ていきます。


2. AIが書く言葉は、どの店の看板にも使える

広告画像には、たいてい言葉が入ります。AIに任せると、その言葉もAIが選びます。

AIがそのまま出してくる言葉その会社にしか書けない言葉(例)
香り立つ、至福のひと皿。朝4時に炊いた道産米を、その日のうちに。
確かな品質を、あなたの毎日に。創業から同じ鉄鍋で、1日80食だけ。
心をこめて、ひとつひとつ丁寧に。修理の電話は、いまも社長が取ります。

※右の列は説明のための架空の例です。

左の言葉は、どれも間違ってはいません。きれいで、感じがよく、誰も傷つけません。だからこそ、どの店の看板にも使える言葉は、どの店の言葉でもありません。

右の列は、数字や固有の事実が入っています。「朝4時」「道産米」「1日80食」「社長が取る」。これはAIには書けません。AIはその会社のことを知らないからです。

薄い言葉が生まれる仕組み

AIが悪いわけではありません。「カレーの広告画像を作って」と頼まれたAIは、世の中のカレーの広告として最もそれらしい言葉を選びます。材料として渡されたのが「カレー」だけなら、出てくるのはカレー全般に当てはまる言葉になります。

薄い言葉は、薄い指示から生まれます。 言い換えると、会社の思いと事実をAIに渡さない限り、看板には誰のものでもない言葉が載り続けます。


3. なぜAI画像は「どこかで見た絵」になるのか

言葉だけでなく、絵そのものも「どこかで見た感じ」になりがちです。これには研究で裏付けがあります。

AIは、確率の高い絵を選んで描く

画像生成AIは、学んだ大量の画像の中から、指示に対して確率の高い形を選んで描きます。指示が具体的でなければ、選ばれるのは平均的で無難な形です。

700通り試しても、約12種類にまとまった

2025年に学術誌『Patterns』に掲載された研究では、画像を作る→その画像を言葉で説明する→その説明からまた画像を作る、という往復を100回繰り返す実験を、出発点を変えて700通り行いました。

結果は、出発点がばらばらだったにもかかわらず、ほぼすべてが約12種類の似た絵に収束しました。嵐の中の灯台、夜の街、豪華な室内、牧歌的な村の風景といった、商用のストック写真のような無難な絵です。研究者はこれを「視覚のエレベーター音楽」と呼んでいます。耳ざわりはいいけれど、誰の記憶にも残らない音楽のたとえです。

〈参照:Hintze ほか「Autonomous language-image generation loops converge to generic visual motifs」Patterns(2025年)〉

広告に置き換えると、何も詰めずにAIに任せた画像は、他社がAIに任せた画像と似てくる、ということです。同じ道具に同じような指示を出せば、似た絵が出るのは当然です。


4. 人はなぜ「AIっぽさ」に気づくのか

「理由はうまく言えないけれど、なんとなくAIで作った画像だと分かる」。そう感じたことがある方は多いと思います。この感覚にも、研究があります。

なめらかすぎる質感

2025年に『Frontiers in Artificial Intelligence』に掲載されたドイツの研究では、104人に本物の写真とAI画像を見分けてもらい、判断の手がかりを分析しました。最も多かったのは、磨かれすぎた素材や、不自然になめらかな質感といった「質感の違和感」で、挙がった理由の約3分の1を占めました。色が鮮やかすぎる、物が均等に並びすぎている、といった声もありました。

完璧すぎる・整いすぎている

同じ研究では、性能の高いAIほど、指の本数のような分かりやすい欠点が見当たらなくなります。代わりに参加者は「完璧すぎる」「きれいすぎる」「なんだか落ち着かない」といった言葉にしにくい違和感で判断するようになりました。欠点探しから、感覚での判断に移っているということです。

〈参照:Högemann ほか「What you see is not what you get anymore」Frontiers in Artificial Intelligence(2025年11月)〉

国内でも、決め手は「全体的な違和感」

ビデオリサーチ ひと研究所が2025年12月に全国の15〜69歳の2,593人に行った調査でも、AI画像広告を見分けた理由として最も多かったのは「全体的な違和感」でした。

〈参照:ビデオリサーチ「AI画像広告は生活者に受け入れられるのか?」(2026年4月公開)〉

ただし、人の見分けは完璧ではない

ここは誤解のないように書いておきます。人はAI画像を必ず見抜けるわけではありません。

調べたこと結果出典
AI画像広告をAIと当てられた割合6割弱〜7割ビデオリサーチ(2025年12月)
本物の写真を使った広告を、AIと思った割合5〜7割同上
AI画像の当てやすさ(5種類のAIで比較)約3割〜8割超。AIの種類で大きく違うHögemann ほか(2025年)
見抜く力の個人差物の見分けが得意な人ほど、AIの顔を見抜けるVanderbilt大学(2026年1月)

注目してほしいのは2行目です。本物の写真の広告でも、半分以上が「AIで作ったのでは」と思われています。 無難に整いすぎた絵は、本物であってもAIに見られるということです。

裏を返すと、AIっぽく見えるかどうかの分かれ目は、道具ではなくその絵に固有のものが写っているかにあります。店の人、使い込んだ道具、その土地の景色。そういうものが写っている絵は、AIっぽく見えにくくなります。


5. AI画像だと見抜かれたとき、広告と会社に何が起きるか

では、「AIっぽい」と気づかれたとき、見た人の受け止め方はどう変わるのでしょうか。

「うっとうしい」「退屈」「分かりにくい」

調査会社のNielsenIQが2024年12月に公表した研究では、2,000人超に品質の異なるAI広告を見てもらい、うち約150人は脳波も測りました。多くの人がAIで作った広告を見分け、「うっとうしい」「退屈」「分かりにくい」と受け止めていました。

さらに、品質が高いと感じられたAI広告でも、従来の広告に比べて記憶に関わる脳の反応が弱かったとされています。見た目がきれいでも、覚えてもらえないということです。

広告の悪い印象が、会社にも移る

同じ研究では、AI広告への否定的な受け止めが、広告だけでなくブランドそのものの印象まで下げるおそれがあると報告されています。

〈参照:NielsenIQ「NIQ Research Uncovers Hidden Consumer Attitudes Toward AI-Generated Ads」(2024年12月)〉

国内では「同じような広告ばかりになりそう」

先ほどのビデオリサーチの調査では、広告に生成AIを使うことについて、約3割が「同じような広告ばかりになりそう」と答えています。第3章で見た「どこかで見た絵」の問題を、見る側もすでに感じているということです。

公平のために:半数は「購入には影響しない」

反対のデータも紹介しておきます。アルテナ株式会社が2024年9月に348人に行った調査では、AIで作った画像を使った広告について、「購入にまったく影響がない」が54.02%でした。

ただし同じ調査で、印象が変わる理由の1位は「実在の商品やサービスとのギャップ」(28.73%)、2位は「人間味の有無」(27.00%)です。

〈参照:アルテナ株式会社 調査(PR TIMES、2024年10月)〉

この2つを合わせて読むと、見えてくるのはこういうことです。嫌われているのは「AIを使ったこと」そのものではなく、実物とのずれと、中身の薄さです。AIを使っていても、実物どおりで、その会社らしさが伝わる広告なら、問題になりにくいと考えられます。


6. 著作権の考え方:簡単な指示で作った画像は守りにくい

もう1つ、見落とされがちなリスクがあります。自社の看板として使った画像を、他社にそのまま使われたらどうなるか、という話です。

簡単な指示で生成しただけのものは、著作物に当たらない

文化庁が2024年に示した「AIと著作権に関する考え方について」では、人が何も指示しないか、簡単な指示を与えるにとどまり、生成のボタンを押すだけでAIが作ったものは、著作物に当たらないと考えられる、とされています。

著作物に当たらなければ、他社が同じような画像を使っても、自社のものだと主張するのは難しくなります。

人が手を入れた部分は、守られる可能性がある

一方で、人がAIを「道具」として使ったと認められれば、著作物になりえます。判断の要素として、次のようなものが挙げられています。

判断の要素考え方
指示の分量・内容創作的な表現を具体的に示す詳細な指示は、創作的寄与があると評価される可能性を高める。長い指示でも、アイデアを示すだけなら影響しない
生成の試行回数回数が多いこと自体は影響しない。生成物を見て指示を直しながら繰り返す場合は、認められる場合もある
複数の生成物からの選択選ぶこと自体は影響しない
加筆・修正人が創作的な加筆・修正を加えた部分には、通常、著作物性が認められる

既存の作品に似れば、使った側が問われうる

AIで作ったものであっても、既存の作品と似ていて、それをもとにしたと認められれば、著作権の侵害になりうるとされています。「AIが作ったから自分は関係ない」とはなりません。

〈参照:文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」概要(令和6年4月)〉

※ここでの説明は文化庁の考え方の紹介です。個別の案件で著作権が認められるかどうかは、専門家にご確認ください。


7. AIを使うな、ではない。正しい使い方の順番

ここまで読むと、AIで広告画像を作るのはやめたほうがいいと感じるかもしれません。当社の考えは違います。見た目を整えるのは、AIがいちばん得意なことです。 問題は使うことではなく、使う順番です。

ステップ1:会社の思いと事実を、人が先に言葉にする

AIに頼む前に、次の問いに答えてみてください。答えが、看板に載せるべき言葉の材料になります。

  • なぜこの商売を始めたのか。いまも続けている理由は何か
  • 他の店や会社と比べて、1つだけ違うところはどこか
  • 数字で言えることは何か(創業年数、1日の数量、産地、仕込みの時間など)
  • 誰が作っているのか。その人はお客様に何と言っているか
  • お客様が実際に言ってくれた言葉で、いちばん嬉しかったものは何か

ここはAIにはできません。会社のことを知っているのは、会社の人だけだからです。

ステップ2:AIには「何を描くか」より先に「何を伝えるか」を渡す

指示の違いは、たとえば次のようになります。

指示の例
薄い指示カレーライスの広告画像を作って。おいしそうに
詰めた指示旭川で創業40年の食堂。昼だけ営業で、鉄鍋で煮込むカレーは1日80食で終わる。常連は作業着の人が多い。コピーは「1日80食、鉄鍋のカレー。」。店内は明るく、器は使い込んだ白い皿

※詰めた指示は説明のための架空の例です。

薄い指示から出てくるのは、カレー全般の平均です。詰めた指示から出てくるのは、その店のカレーに近づいた絵です。さらに、コピーはAIに考えさせず、ステップ1で人が決めた言葉を渡しています。

ステップ3:出す前に、人が確かめる

最後に、公開する前に次の点を確認します。

確認すること見るポイント
実物とのギャップ実際の商品・店内・量と大きく違っていないか。違えば、見た人の不信感につながる
他社との似かた同業他社の広告や、有名な作品と似ていないか
文字の誤り画像の中の文字が崩れていないか、存在しない言葉になっていないか
権利使ったAIサービスの利用規約で、商用利用の条件を確認したか
固有のものその会社にしかない言葉か、事実が1つ以上入っているか

実物と大きく異なる画像を広告に使うと、景品表示法上の問題になるおそれもあります。とくに食品や商品の見た目を伝える広告では、実物の写真と並べて確かめることをおすすめします。

この順番で作ったものは、AIを使っていても、その会社の看板になります。

AIの使い方を社内で揃えたい場合は、業種別の生成AI研修・セミナーで、御社の業務や販促物を題材にした研修をお受けしています。


8. よくある質問

AIで作った画像を広告に使うのは違法ですか

AIで作ったこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。ただし、既存の作品に似ていて著作権を侵害している場合や、実物と大きく異なる見た目で商品を宣伝した場合は、問題になりえます。公開前に第7章の確認をしてください。

AIで作ったことを表示するべきですか

表示のルールは、国の指針や、SNS・広告媒体ごとの規約で整備が進んでいる分野です。出稿先の規約を必ず確認してください。表示が義務でない場合でも、「イメージです」「AIで作成」と添えておくと、実物とのギャップによる不信感を避けやすくなります。

AIっぽさを消すコツはありますか

表面の加工で消そうとするより、固有のものを入れるほうが効果的です。本物の店内や人の写真と組み合わせる、実際の商品を写真で入れて背景だけをAIで作る、コピーは人が書く、といった方法があります。第4章のとおり、無難に整いすぎていると、本物でもAIに見られます。

写真を撮る予算がない場合はどうすればいいですか

スマートフォンの写真で十分なことが多いです。明るい時間に、実物を、そのまま撮る。整いすぎていない写真は、それだけで「この店の写真」だと伝わります。AIは、その写真を使った広告の構成や文字の配置を考える場面で使うと効果的です。

ChatGPTで作った画像は商用利用できますか

利用条件はサービスごと・プランごとに決められており、改定もあります。使うサービスの利用規約で、商用利用の可否と条件を必ず確認してください。そのうえで、第6章の著作権の考え方と、第7章の確認を合わせて行うことをおすすめします。

作った画像が、既存の広告に似てしまったらどうすればいいですか

公開前に気づいた場合は、使わずに作り直してください。指示に自社固有の事実を足すと、似る可能性は下がります。公開後に指摘を受けた場合は、速やかに掲載を止め、専門家に相談してください。

社内でAIを使うときのルールは、どう作ればいいですか

最初は3つで十分です。①公開する前に人が確認する、②コピーは人が決める、③実物と並べて確かめる。そのうえで、業務ごとに「AIに任せてよいこと・任せないこと」を書き出していきます。当社では、このルールづくりと社内研修もお受けしています。


まとめ

  • ChatGPTなどの画像生成で、見た目の整った広告画像は誰でもすぐに作れる。見た目の完成度は、もう差にならない
  • 会社の思いと事実を詰めずに作ると、どの店の看板にも使える言葉が載る。どの店の言葉でもない
  • AIは確率の高い無難な絵に寄る。700通りの実験が約12種類に収束した研究がある〈Patterns 2025〉
  • 人は「なめらかすぎる」「整いすぎ」「全体的な違和感」でAIっぽさに気づく。ただし完璧ではなく、本物の写真の広告も5〜7割がAIと思われている〈ビデオリサーチ 2025〉
  • 気づかれたAI広告は「うっとうしい・退屈・分かりにくい」と受け止められ、記憶に残りにくく、会社の印象まで下げるおそれがある〈NielsenIQ 2024〉
  • 嫌われるのは「AIを使ったこと」ではなく、実物とのずれと中身の薄さ
  • 簡単な指示で生成しただけの画像は著作物に当たらないと考えられており、他社に使われても守りにくい〈文化庁 2024〉
  • 正しい順番は、①思いと事実を人が言葉にする → ②AIには伝えたいことを渡す → ③出す前に人が確かめる

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